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小中学生がスポーツから学んでほしい事

【札幌駅前校 校舎長 吉岡 祐】 先日行われたサッカーW杯ロシア大会はフランスの20年ぶりの優勝で幕を閉じた。サッカー選手に憧れる子供たちは、『クリスチャーノ・ロナウドのFKがすごかった。』とか『メッシのトラップからのゴールがすごかった。』とか『ネイマールめちゃくちゃうまい!』、『エムバペのスピードに驚いた。』と様々なことを感じた大会であっただろう。 私が子供の頃も全く同じ思いだった。 1994年アメリカW杯、当時中学1年生だった私はW杯をテレビを観て、ロベルト・バッジョって本当にうまい、困った時は必ず決めてくれる選手だなと感じたものだ。スター選手がゴールを決める、GKがスーパーセーブをする、サッカー好きはそれだけでも興奮するものだが、今回の大会ではピッチでのそのようなシーン以外に私自身が深く感銘を受けた出来事があったので、それについて紹介したいと思う。 格上相手に辛くも勝った初戦のコロンビア戦や日本の第2戦目のセネガル戦で失態と思えるような致命的なミスをしてしまい、国内外から批判の的となってしまった日本代表のGK川島選手。7月2日のsoccer digest webの記事によれば批判が集中するあまり先発を外れるべきか監督に相談していたというのだ。

soccer digest web7月2日版掲載記事2018年7月1日(現地時間)、西野監督がベルギー戦に向けた会見の席で川島永嗣から相談を受けていたことを告白した。「1、2戦目を終えた段階で、彼とふたりで話をした。彼からですけども、自分の立場やプレーについてかなり話をしました」。 コロンビアとの初戦、続くセネガル戦での川島のパフォーマンスはお世辞にも良いとは言えなかった。特にセネガル戦の立ち上がりのパンチングに関しては自ら「ミス」と明言していた。

試合をテレビ観戦していた私は、これだけ批判の的になっている川島選手を交代しないのには西野監督に考えていることがあるのだなと思っていた。2試合を終えて1勝1分けで首位なのに、なにかもどかしさも感じていた時、日本代表吉田麻耶選手が川島選手のことについて触れているTwitterを見つけた。

小学校2年生からサッカーをやっていた私はこの記事を読んで心から頷いた、感動した、そして本当に泣いた。 点を取ることだけがサッカーじゃない。 日本のサッカーを代表する選手がチームスポーツの本質に気づかせてくれた瞬間だった。チームスポーツを教育手段として重視したのは、それこそサッカー発祥の地イギリスの純粋な意味でのathleticism(チームスポーツを通じて「勇気」・「忍耐」・「フェアプレイの精神」を養成する教育イデオロギー:スポーツと教育-スポーツは人間を創るか-(早稲田大学学園誌「新鐘N0.69」)であり、今尚当地の名門パブリックスクールにおいて、教育の一環として盛んに行われている所以である。私が小学校・中学校・そして高校と学校を一日も休まなかったのは、休むと大好きな友達と大好きなサッカーができないからだ。サッカーは点を取るととても楽しいし、勝つともっと楽しいスポーツだ。日本の子供たちもサッカーを始めたきっかけは皆ほとんど同じだ。だがチームスポーツの本質は勝ち負けだけの強さではなく、仲間を助け合うことや勇気を持って挑む姿勢であり、大事なのはその心の強さだと吉田選手は日本の子ども達に向けてツイートしてくれたのだ。 決勝トーナメント1回戦で2点のリードからベルギーに大逆転で負けてしまった日本代表だが、応援していたので試合終了直後の30分位は悔しさでいっぱいだったが、吉田選手のようなコーペレーション精神を持った心の強いプロスポーツ選手がいる日本という国に生きていることはとても誇らしいことだ。 サッカーをやってきて本当に良かった、サッカーって本当に深い。

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