<コラム>「受験勉強」に「睡眠」は必要不可欠である。 | クラズユニック

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<コラム>「受験勉強」に「睡眠」は必要不可欠である。

【英語科 島田 育興】

受験生の中には、合格のために睡眠時間を削って受験勉強をしている人も多いと思いますが、睡眠時間を削った学習はデメリットの方が多く絶対にお勧めできません。睡眠不足の状態では、日中頭がボーっとして頭に入らないことや体がだるく感じるなど自覚できることがあるかと思いますが、さらに、人間(というか生物全般)にとって、睡眠は記憶の整理・定着に欠かせない大きな役割があるからです。

睡眠時間が不足すると思考力が低下し、やる気や集中力がなくなることが科学的にわかっています。ドイツのリューベック大学の研究グループは、被験者にカードを使った作業を行ってもらい、そこにある法則に気づくかどうかで洞察力を評価しました。この実験において、睡眠をしっかりとった被験者は洞察力が高く、睡眠不足の被験者は洞察力が低いというデータが得られたと報告されています。(Ulrich Wagner, et al., Nature 427, 2004.引用はabstractまでですが、有料で全文みられます。)。また、睡眠にはREM睡眠とnon REM睡眠がありますが、まだはっきりとそれらの役割の違いはわかっていないものの、いずれも記憶(情報入力)定着や整理について、それぞれに重要な役割があり、十分な睡眠をとらなければ、記憶の定着率が大幅にダウンしてしまうことは間違いのない事実と言えます。すなわち、受験においては、睡眠不足で高校や予備校の授業に集中できなければ、受験勉強が非常に非効率的なものになってしまうということです。実際、私自身も浪人時代、普段はとても集中して受講していた人気講師のとてもわかりやすい授業が、睡眠が不足していた時には集中が途切れて聞き逃すことがあったりしたものです。様々な研究結果や自分自身の体験からも睡眠不足にはかなりのデメリットがあると断言できます。

また、それ以上に問題だと思われるのは、昼間の時間を無意識のうちに軽視してしまうことだと思います。志望校合格までまだ全然学力が足りない人がいたとします。このような場合、「睡眠時間を削って夜遅くまで起きて勉強すれば、間に合うかもしれない」と考えるのは自然かもしれません(実際に多くの受験生がそう考えます)。すると、あら不思議、1日24時間は変わらないのに、何となく使える時間が増えたように感じを受け、時間的に少し余裕があると勘違いをしやすくなります。心に余裕を持つことは、本来悪いことではないと思うのですが、受験生のような、張り詰めた、追い詰められた状況下においては、ややもすれば油断・集中力の低下の原因となります。そのコントロールは結構難しいものです。効率よく使えば日中の時間を非常に有効に活用できるにもかかわらず、とことん集中して授業を受けて可能な限り多くのことを吸収してやろうという意識が弱くなったり、ちょっとした空き時間、隙間時間などを活用しようとせず無駄に過ごす、もしくは活用しようとは心がけるが、睡眠不足の影響で集中力が続かず活用し切れないという事態に陥ってしまうことが往々にしてあります。

そうならないためには、まずは睡眠時間をしっかり確保したうえで、24時間のうちの睡眠時間を除外した「起きて活動できる時間」を逆算し、その時間を極限まで利用しようと意識を変えることです。そうすれば、パフォーマンスを最大限発揮した状態で密度の濃い日中の時間を過ごすことができるでしょう。その状態で受けた授業の方が、睡眠不足で受けた授業より何十倍も効果があると思います。ぜひこのような効率の良い受験勉強のできる受験生になって、志望校合格を勝ち取っていただきたいと思います。


著者プロフィール

留萌高校卒、北海学園大学人文学部卒。道立高校教員、塾講師を歴任し、現在、当校英語科教員。英語を苦手とする生徒に対して、いかに丁寧にわかりやすく指導できるかを心がけた指導を行う。

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